ダイヤモンドが戦争に使う武器売買で不法に取引されている実話をもとにした物語。ダイアモンドに人生を輝かされる者と壊される者の格差が恐ろしいです。
はりの評価
3段階の星評価
★★
個人的にヒット
ダイアをめぐる紛争のせいでたくさんの人の命が犠牲になっとると想像もしてなかった。お金持ちの娯楽のために強制労働をさせられたり、子供は銃を持って戦わされる…
象牙とか毛皮は動物が犠牲になっとってダイヤは人間で、しかも犠牲になっとるのはダイヤと無縁の貧しい生活しとる人ら!
あらすじ|みどころ
あらすじ
紛争に使用する武器の資金調達のために不法取引される「ブラッドダイヤモンド」。その採掘場で強制労働をさせられるソロモンはある日、大粒のピンクダイヤモンドを見つけます。
ソロモンが見つけたピンクダイヤのことを知り横取りを考える密売人のアーチャー。紛争ダイヤの密輸の真相を探るジャーナリストのマディー。この3人がそれぞれブラッドダイヤモンドに異なる願いを託し、出会います。
みどころ
登場人物は架空ですがダイヤモンドの不法取引は実話です。アーチャーの危険は自分の利益の為ですが、現地で殺され強制労働させられる人たちはダイヤを望んでいません。ダイヤを手にしても売買する手立てもなく家族や自分が幸せになることもないからです。金持ちの娯楽や、戦争の武器調達のために関係のない人達が犠牲になっています。
女子供は容赦なく撃ち殺され、男はダイヤの採掘場で働かされます。ダイヤを隠したソロモンの息子は人質として拉致され薬漬けの少年兵にされてしまいます。他にもたくさんの少年兵がいます。みんな小さな子供です。
マディはただ真実を伝えだけではなく、決定的なことを記事にして現状を変えるという信念を持っていました。たった一つの大粒のピンクダイヤがもたらす影響とはどんなものなのでしょうか。
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料金|配信状況
月額 | 配信状況 | |
---|---|---|
U-NEXT | 2189円 | 〇 |
Hulu | 1026円 | × |
Prime Video | 500円 | 〇 |
Disney+ | 700円 | × |
Netflix | 990円~ | 〇 |
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予告動画
戦争とダイヤの深い関り。これは知っとかんといけん!
それにより残虐に失われる命と、引き裂かれる家族がおるってことも!これは現実!
スタッフ|映画情報
監督 | エドワード・ズウィック |
脚本 | チャールズ・リーヴィット |
制作国 | アメリカ |
公開(日本) | 2007年4月7日 |
上映時間 | 143分 |
キャスト|役名
キャスト | 役名 |
---|---|
レオナルド・ディカプリオ | アーチャー: ダイヤの密売人 |
ジャイモン・フンスー | ソロモン: 漁師、強制労働者 |
ジェニファー・コネリー | マディ: ジャーナリスト |
アーノルド・ヴォスルー | 大佐: アーチャーの傭兵時代からのボス |
カギソ・クイパーズ | ディア: ソロモンの息子 |
ベイジル・ウォレス | マガイ: 少年兵更生村の長 |
デヴィッド・ヘアウッド | ポイズン: RUFの大佐 |
ジミ・ミストリー | ナビル: パイロット |
マリウス・ウェイヤーズ | バン・デ・カープ: ダイヤ業界の大手 |
マイケル・シーン | シモンズ: バン・デ・カープの部下 |
ンタレ・ムワイン | メッド: 海辺のバーテン |
アントニー・コールマン | コーデル: コッツィーの部下 |
気になった登場人物
ダニー・アーチャー
ダイヤの密売人で、ソロモンがピンクダイヤを隠していることを知り横取りを企み近づきます。元傭兵で銃の腕は抜群。9歳の時に両親を惨殺される。
ソロモン・バンディー
西アフリカのシエラレオネにある村の漁師。妻と子供3人と暮らしていましたがRUF(革命統一戦線)に村を襲われた際に家族を逃し自分だけ捕まってしまいます。ダイアモンド採掘場で強制労働をさせられている時にピンクダイヤを見つけ隠します。それをRUFのポイズン大佐に見られ目を付けられます。
マディー・ボウエン
ジャーナリストとして取材しながらアフガニスタン、ボスニアと移動し西アフリカに滞在しています。アーチャーと大手ダイヤ販売業のバン・デ・カープとの繋がりを知り、アーチャーに真実を話すように問い詰めます。決定的な真実を明らかにすることで現状を変えようとしている熱い人間です。
ディア・バンディー
ソロモンの息子。医者を目指す優秀な子供でしたがRUFにさらわれて、強制的に銃や薬を与えられ残虐な少年兵にされてしまいます。
ポイズン大佐
採掘場でソロモンが隠したピンクダイヤを手に入れるため息子のディアを人質にして可愛がります。政府軍の襲撃の際に左目を負傷し眼帯に。
ベンジャミン・マガイ
RUFから救い出した子供を更生させるための施設を運営しています。RUFの司令官が昔の教え子でベンジャミンを恐れており襲撃はこないそう。アーチャーと性善説の話をしました。
性善説の話は興味深い。知識+で深堀してみよう。
気になったシーン|感想
紛争ダイヤの抱える問題
ブラッドダイヤモンド=血のダイヤ=紛争ダイヤ。戦争に使う武器調達の為に不法取引されるダイヤモンドの事です。この映画の内容は衝撃でした。輝く宝石の裏に隠れている残酷なことや真実を知らないし考えてもいなかったんだなと恥ずかしく情けなく思いました。
輝きを放つダイヤモンド。どれほどの命や生活が犠牲になったのか。犠牲とは強制労働だけでなく死も意味します。更にその取引により調達された武器が紛争に使われるのであれば、実際の犠牲はどこまで大きなもなのか。
すべてのダイヤが同じ実情を抱えているわけではありませんが知っておかなければならない真実だと思います。
100人いても1人は1人
途中でソロモンが銃撃で怪我をした子供を迷いなく抱き上げ救いました。その行動に周りはギョッとします。私も違和感を感じました。客観的に「助けていてもきりがない」「助けきれない」と思い込んでしまっていました。普通に考えれば当たり前のソロモンの行動を異常に感じたのです。
その考えは1人の子供を「1÷100」にしていると気づきます
100人いても1人は1人です
100人いるからと1人の価値が100分の1に
分散される事はないはずです
全員を助けれなくても助けられる1人を
助ければいいのです
しかしその感覚がわかなくなり「他の子も助けられないから」という意味の分からない理由をつけて目の前の助けられる1人を見捨てる判断をしてしまうのです。
少年兵ディアと勇敢な父
心が痛むのは少年兵になってしまったディアが父親のソロモンに銃を向けるシーンです。家族から引き裂かれ拷問を受け、目隠しをしたまま銃を撃つように脅され、目隠しを外すと自分の放った銃弾で人が死んでいるのです。
そして「お前たちの親は弱く役立たずだ」と洗脳される、、、日本では想像もつかないです。これは世界のどこかで今も起こっている現実です。
父を「敵」だと洗脳され自分に銃を向けたディアに対し、信じて救おう、守ろうとソロモンが心を込めて言葉をかけるとディアの目から涙がこぼれます。ソロモンの言葉も気持ちも真実としてちゃんとディアの心に届きました。
真相
実際アーチャーとバン・デ・カープは繋がっていて、密輸したダイヤは買収した税関により作られた偽装書類で、合法的に輸出されていました。そしてバン・デ・カープは値崩れさせないため買い占めたダイヤを隠し、貴重さを宣伝しています。
表向きでは紛争ダイヤの阻止を支持していながら、裏では紛争ダイヤの密輸に深く関り実際は内戦を長引かせているのです。
アーチャーがシモンズとロンドンで交渉を行っており、マディが求めている決定的な証拠は全てアーチャーの持つ手帳に記されていました。
結末・ラスト
隠していたピンクダイヤを掘り出したソロモンと助け出した息子のディア、アーチャーの3人はPUFに追われる中、ナビルが迎えに来る飛行機の着陸地点を目指します。しかしアーチャーは争った際に腹を撃たれ流血していました。
飛行機が空を飛ぶのが見えたころ、アーチャーは自分の死を覚悟しダイヤをソロモンに渡します。そして自分を置いていくように言います。ソロモンは反対しますが、アーチャーは家族を理由すればソロモンが言うことを聞くとわかっていました。「ディアを守って家族に会え」と説得します。
ソロモンが去ったあと、マディに電話をかけ「ソロモンと会って力になってくれ」と伝えます。そしてお互いに「今一緒にいたかった」と気持ちを伝えます。このシーンはとにかく切なくて涙が出ます。
アーチャーは証拠となる名前、日付、口座番号が記された手帳も託していました。ソロモンは自らシモンズとピンクダイヤの取引交渉をします。望みはお金だけでなく家族との再会です。シモンズは難民キャンプから家族を呼び寄せ、金も用意してソロモンに渡しました。
そしてその一部始終をマディが撮影し記事にすることでバン・デ・カープの不正はついに世間に明るみになったのです。
アーチャーはダイヤを横取りしようしょーたのに最後は自分の命を犠牲にしても、ソロモンを逃がすことを優先した
アーチャーの死が残念でならん
アーチャーの最期
アーチャーが最後に赤土を握るシーン。この時ふと2人の言葉が思い出されます。
ベンジャミン・マガイの言葉
善悪は行動で決まるんだ
悪人でさえ一瞬の愛情があれば
人生に意味を与えられる
正しい道の選択は難しい
コッツィーの言葉
赤土は俺たちの命だ
この大陸で流れた血の色だと言われている
ここは古郷
お前は出て行かない
アーチャーは、この大陸から出たいという一心で密売人という悪の行動を行ってきました。最後にソロモンと家族を優先した行動は善であり彼の人生をギリギリのところで意味のあるものに変えたのです。しかし、まるでコッツィーの言葉の呪縛のように彼が大陸を出たいという願いは叶いませんでした。
最初と最後に流れるメッセージ
ダイヤモンドの採掘権を巡り内戦は激化
数千もの命が消え何百万もの難民が生まれた
ダイヤには無縁の人々だった
2003年1月
紛争ダイヤの売買を阻止する制度
キンバリー・プロセス導入(※)するも
いまだに売買は続いている
それを阻止するのは消費者である
シエラレオネは平和になったが
アフリカにはまだ20万の少年兵がいる
犠牲になっているのがダイヤと無縁の人々だという事実。宝石店での光景を恐ろしく感じます。「平和になった」というメッセージに続く「20万の少年兵」という数字がこの問題の深さを物語っています。
何かが変わり少し良くなっても完全な解決を刷る事は困難だという事です。ただこれも「100人いても1人は1人」でも書いたように、少しでも良くなったことの重要さに目を向けることが大事です。
小さな変化を見落として何をやっても何も変わらないと諦めてしまう事を避けなければなりません。変化を続けることで、20万という数字が10万、5万と減少するかもしれません。その時に到底無理だと思っていた100人はすでに救われていることに気づくのです。
映画ついでに知識+
シエラレオネ内戦とは?
実際に起こった内戦です。少しだけまとめます。
シエラレオネ共和国:
首都 フリータウン
位置 西アフリカ西部の太平洋岸
1961年にイギリスから独立
紛争ダイヤモンド:
別名「ブラッドダイヤモンド」「血塗られたダイヤモンド」と呼ばれる。紛争国で不正に採掘され、武器調達の資金として取引されるダイヤモンドの総称。
反政府勢力RUF(革命統一戦線):
当時の大統領の独裁政権を倒すために1987年にアハメド・ホメイ・サンコーにより結成されますが1994年頃から政治性が影を潜め惨殺や略奪、破壊が中心の集団になります。領地を拡大し、紛争ダイヤモンドを資金源に武器を調達し勢力を強めます。
RUFと政府軍との争いは1991年~2002年にかけて10年にも及び、国民の半数以上が難民になり7万5千人もの死者を出しました。
犠牲は幅広く、政府側につかせないように腕や足を切り落とされるなど見せしめのためだけの残虐な行為や、子供たちの多くは拉致され少年兵や少女兵として虐待を受け強制的に戦わされました。犠牲者は罪のない市民たちです。
2000年にアハメド・ホメイ・サンコーが拘束され、2002年にRUFが政府からの武装解除の要求に応じ内戦は終結しました。ダイヤモンドが内戦を長引かせたと言われています。ダイヤがなければ資金はすぐに底をつき紛争を続けることは難しかったでしょう。
ム、ムズイ!!頑張って調べたけど複雑すぎて完全に理解するのは無理じゃ。ザックリとでもええけん知識にプラスしてほしい…
性善説とは?
この言葉は初めて聞いて興味深かったので調べてみました。「性善説」には対義語として「性悪説」という言葉もあるようで合わせて紹介していきます。
■中国戦国時代の3人の思想家
告子(こくし):
人間の性は本来、善でも悪でもなく導き方で定まると主張した。
孟子(もうし):
告子の主張に対し「性善説」を唱えた。
荀子(じゅんし):
孟子より後に活躍。「性善説」を批判し「性悪説」を唱えた。
■性善説(せいぜんせつ)
まず初めに「性」とは人の本性や物事の本質のことで、性善説は「人間の本性は基本的に善である」という考えです。社会に横行(※)する悪について、「悪は人の外に存在する」とし、外的な影響や環境に原因があるとしました。(※横行:悪事が盛んに行われること)
■性悪説(せいあくせつ)
性善説を真っ向否定する「人の本性は悪である」という考えです。人の本性には欲望があり、規範(※)や法令などの外的要因によって矯正、感化しなければ争いが起こるとしました。(※規範:行動や判断の基準・手本)
映画の中では性善説ってゆうたけど、ベンジャミンが「善悪は行動で決まる」ゆーのは最初に告子が唱えた「導き方で定まる」と共通するな。
へりも善も悪もどっちも本質の中にあるけど、経験とか考え方とかで判断して行動しょんじゃ思うわ。
ほんまそれ!!心の中では「クッソー」と思うても笑顔で「気にせんでええよー」ゆーときあるしな(笑)
だよなー!!うちの本質なんか確実に悪の方が強い!!(笑)けど、善がないとも言い切れんけん告子の「どっちも存在する説」に一票!!どっちを出すかは自分次第。生まれ育った環境や生きていく中での経験とか出会いがおおきゅー影響するんじゃろうな。
私の幼少期の記憶から予測される本性はかなり悪の要素が強いと思います。でも幸せなことに外的な出会いには大幅に善が多くて、なんとか今の性格に留まっています。心から出会いに感謝しています。あとは映画によるたくさんの疑似体験も大きく影響していると本気で思います。
最後まで記事を読んで下さり、ありがとうございます(^^)